エゾヒグマ、帰還。

 先日、長らく福岡に出張していたエゾヒグマのはく製が宮崎演習林に戻ってきました。九州ではクマ(ツキノワグマ)は絶滅したとされているので、そのはく製、しかも北海道に生息しているエゾヒグマを見ることができるのは大変貴重になります。


近くで見ると想像以上の迫力があります

九州大学は福岡、宮崎、北海道の3つの演習林を持っているため、宮崎にいながらもクマを体感できるわけです。もう少し秋晴れがの日が増えてきたら、天日干しして出張の疲れを労ってあげたいですね。

 

様々な樹種の断面が見れる材鑑標本

演習林に生える植物の形態が分かるさく葉標本

二ホンアナグマとホンドテンのはく製

昆虫標本。これだけの数を集めた先輩方すごい…

  宮崎演習林にはこのほかにも展示・標本が数多くあります。コロナの影響がある現在ではなかなか難しいかもしれませんが、落ちついたらぜひ宮崎演習林に足を運んでみてください。まだ見たことがない方はもちろん、もう見たことがある方もお待ちしています。m(__)m

                          2020.09.16 山内(耕)

その後の人吉(2020年8月末日)

 7月の長い梅雨が終ったと思ったら、猛暑の夏がやってきました。

ここ椎葉(標高約600m)でも、35℃を記録するという、異例の暑さです、、、。

ところで、先日、人吉に行ってきました。だいぶ復旧が進んだなあと思った一方で、まだまだ道のりは長いな、、、と。最近の人吉の街と連絡所(演習林の施設)の様子を簡単ですが、ご報告します。



人吉連絡所の近所の道(左:7月4日、右:8月末日)

氾濫直後は、汚泥が20-30cmほど道路に堆積していました。当日、この道を歩いて連絡所に向かいました。最近は、すっかり綺麗になりましたが、粉塵は相変わらずのこっています。



人吉連絡所の入り口の様子(左:7月4日、右:8月末日)

 氾濫直後は、球磨川の水位が高く、入口の前の道が完全に水没していたため、車でアクセスできませんでした。水も茶色です。最近は、すっかり濁りがとれ、水位も低く、普段の球磨川の様子です。



人吉連絡所の敷地内(左:7月9日、右:8月末日)

敷地内は汚泥が堆積していましたが、福岡からの応援もあり、重機を使って、すっかりきれいに撤去できました。温室の中にはまだ撤去できていない泥が堆積しています、、、。



災害廃棄物(左:7月11日、右:8月末日)

物品が少ないと思っていた連絡所庁舎でさえ、浸水により大量の災害廃棄物が出てきました。浸水被害の大変さを痛感しました。また、災害直後は、廃棄物を市内の指定の場所に捨てに行くのに、交通渋滞がひどく6時間もかかりました、、、(普通なら30分もかからない場所です)。



7月4日の球磨川の様子、ツイッター画像(https://pbs.twimg.com/media/EcC7QMVVAAAUWzs.jpg


人吉連絡所近くの繊月大橋(奥の赤い橋)がほとんど水没し、手前の橋が一部流されています。この写真を見て、洪水の恐ろしさを改めて実感しました。



破損した橋、8月末日の様子

8月中旬に確認したときは、壊れた状態だったのですが、先日見たら、復旧工事が始まっていました。対応の早さに驚きました。

球磨地方に引っ越してきてまだ1年も経っていませんが、この地の美しさ・おいしい農産物など、この場所がすっかり気にいっています。球磨のゲートシティである人吉は、古きよき日本の風情が残る街。大勢の観光客でにぎわう人吉をまた早く見てみたいです、、、。



2020.08.31 TK









 


 










虫の話

少し前のことになりますが,事務所前でルリボシカミキリを見つけました.

昆虫少年のあこがれの一つ(たぶん).思っていたよりも大きくて,しっかりした体つきでした.


私は子供の頃から虫が好きだったのですが,都心部で育ったものであまり多くの種類を見ることができなかったのです.こんなものを見つけると今でも本当にワクワクします
(なお「虫が好き」と言うのはあくまで一般の子供レベルの感覚です.専門的な知識などは全くありません)


子供の頃のあこがれと言えば,こんなものも.
ナナフシ(ナナフシモドキ)です.この独特の佇まいに心惹かれる人は多いのではないでしょうか.図鑑等でおなじみでしたが,私が初めて生きたナナフシに会えたのは大人になってからだった気がします.


椎葉に住んでいると,日常的に様々な昆虫や小動物と遭遇します.私にとってそれはとても楽しく,日々の喜びの一つになっています(虫が苦手な人だとそのまま苦痛になるのかもしれません).
メジャー系

甲虫光り物シリーズ
ちなみに左下のオオセンチコガネ(糞虫)は平らなコンクリートの上で
ひっくり返ると自分では起き上がれずに死んでしまいます


基本的に虫というのは人から逃げていくものであり,そもそも小さいものが多く,私の持っているカメラと技術に収められるのは日々目にするものの本当に一部です.大部分はもっと渋い感じで,何というか不思議だったり不気味だったりするものばかりです.


子供時代からのあこがれもあるのですが,40歳も過ぎて改めてそういう虫たちを見ていると,この世界には本当に色々なものが生きているのだなあ,という気持ちにさせられます.それに伴う喜びや感動も,ある意味では大人になってからの方が大きいこともあるように思います.
ヒメヤママユ
蛾は手の上で落ち着いてくれるものが多いです
顔もだいたい目がクリっとしてかわいいと思う

2020.8.13 市橋

シダの国から

豪雨が去り村内の日常が戻ってきたこの頃,演習林だけでなく事務所まわりにも多様なシダ植物が生育していることに気づきます.シダ植物は種子植物が誕生する前から分岐した植物の一派で宮崎県は国内でも特にシダ植物の多様性が高い地域です.椎葉村は谷底から九州山地の稜線まで1000m程度の標高差があり,暖温帯から冷温帯まで幅のある気候環境が多様なシダ植物相を育んでいます.近年ではシカによる林床植物の変質や消滅が深刻化していますが,シダ植物はそれほど好みでないためか,現在も多く見ることができます.以下に事務所まわりで代表的なシダを紹介します.

 イヌワラビ
日当たりの良い石垣に生えます.

 イノデ
谷沿いの湿った風通しのいいところが好きです.
イノモトソウ
石垣に生えます.
 イワガネゼンマイ
日陰や谷沿いなど湿ったところに生えます.
 イワヒバ
石垣に生えます.小葉類といって真正のシダ植物よりも昔に分岐した植物です.
 ゲジゲジシダ
羽片の基部が三角の翼状になるのですぐわかります.
 サジラン
湿った暗い崖や擁壁でよく見かけます.ランと言いますがシダ植物です.
シノブ
樹や岩に巻き付くシダで,よく縁日に苔玉にして売られていますね.
 タチシノブ
半日陰に生えます.チャセンシダ科と思っていたらイノモトソウ科でした.
トラノオシダ
石垣や法面に生えます.
ビロードシダ
樹や岩に着生するシダで細かい毛が生えています.
マメヅタ
あまりシダっぽくないシダです.茶色いのは胞子嚢の付いた胞子葉です.

2020.7.22 Nakamura

豪雨のあと

7月4日早朝、夜半よりの豪雨で不安な一夜が明けた頃、下に住む職員から「球磨地方で大規模な水害が発生し、人吉連絡所も被災している」との知らせが入りました。
災害多発地の椎葉側でなく、県境向こうの球磨側に被害が出たことを意外に感じました。
しかし、夜が明けてからも雨脚の弱まる気配はなく、ここでも災害に備えて準備を始めました。

一ツ瀬川源流の峻険な山々に囲まれた僻地で、かつ人口希薄地の当地では、道路、電気、水道といった生活インフラは極めて脆弱です。
道路の寸断による孤立化、長時間停電、断水は珍しくありません。また、宮崎演習林庁舎は災害時の避難所に指定されています。

そこで、庁舎付帯の宿舎に住んでいる職員は、自身の避難準備と並行して庁舎を点検し、発電機や燃料の搬入、飲料水・一般用水の確保など避難受け入れ準備を行ないます。
そして、ひと通りの準備が終われば、あとは各所からの連絡に備えての災害待機となります。

そうしているうちに「あそこの道路が崩れた」とか、「どこそこへ抜ける道は土砂が流れだしている」といった地元情報が入りだします。
それらの情報を収集しながら、演習林の中がどうなっているか気がかりでなりません。
しかし、雨の中では二次災害の危険もあり、ジリジリと疲弊しながら雨のやむのをひたすら待ちます。

7月13日、降雨発生から11日目、「令和2年7月豪雨」と称された大雨が漸くやみました。降り始めからの雨量は、演習林事務所での観測値で1,000mmを超える記録的豪雨でした。

さて、雨がやむと山林、道路の被害確認、「林内巡視」に行くのが慣例です。
トラックにありったけの土工道具やチェンソーを積んで出発します。
この辺りの道路は、国道も含めて急峻な地形につけられた隘路ばかりです。
普段の雨上がりでも落石や出水、洗い出した土砂に悩まされるので、こういった大雨の後は特に注意を要します。
演習林へ向かう村道。アスファルト下の路盤材が浸食されたのでしょう、路面が凸凹です。

道路沿いの治山堰堤。地山へすりつける基礎部分が流されいます。この時点で先行きにかなりの不安を感じます。

演習林内の道路状況です。山からの排水が捌けきれずに路面を洗っています。
そして、その流れが路面を浸食しています。
沢が土砂で埋まり、排水が機能しなくなった場所では流水が滝のように路肩をけずっています。
こうした路肩の決壊もあちこちで発生していました。
ここでは、法面から洗い出された土砂が道路を塞いでいます。
比較的大きな谷には大径のコルゲート管を設置していますが、それでも水を捌けきれなかったのでしょう。太い丸太が道に押し上げられていました。

予想した通り、林内の道路ではあちこちで損傷が生じていました。ただし、総合的な判定としては、自力復旧可能な範囲での被害にとどまりました。
なにより恐れていた斜面の崩壊や地滑りといった大規模な災害が起こらなかったのは本当に幸いでした。



一昨日より、さっそく復旧に向けて作業にとりかかりました。
演習林内の道路は、ほとんどが未舗装で頻繁なメンテナンスを必要とします。その反面、手持ちの機械ですぐに施工できる即応性にすぐれる利点があります。
しかし、山に水が飽和している状態では危険も高いので、本格的な復旧は梅雨明けとなりそうです。

今回に限らず、ここでは大雨や台風がくるたびに自身の安全と管理山林への心配からストレスが高まります。しかし、それこそが宮崎演習林の山守としての務め、ともいえます。
日頃から災害への備えは怠らず、あとは運を天に任せるほかはなさそうです。
                                2020.7.18 D.O

人吉連絡所 復旧の様子

昨日の投稿では大変な状況を紹介しましたが、事務所の復旧は着実に進んでいるので、今日は復旧中、現在の様子をご報告します。

人吉連絡所の被害の状況

みなさんご存知のとおり、7月3日夜から4日昼にかけて、人吉球磨地域を中心に非常にたくさんの雨が降りました。そして、球磨川が氾濫しました。我々九大宮崎演習林は椎葉村にありますが、その玄関口である人吉市に連絡所(事務所)と官舎が1件あります。何人かの職員は人吉や球磨郡に住んでいます。今回の大雨により、事務所と官舎が床上浸水しました。ニュースに映る人吉や球磨の様子をご覧になって、多くの方に心配いただきました。被害はあったものの、我々は元気にしています。復旧もすこしずつですが、進んでいます。今回はブログの場を借りて、被害や復旧についてご報告させて頂こうと思います。