夜の林内

春のライトセンサス調査を行いました。
ライトセンサス調査とは、夜間に車からスポットライトで林内を照らし、野生動物を探す調査のことです。
3日間の調査でシカ66頭に加え、ウサギ、アナグマ、タヌキ、テン、イタチ、ムササビが見られました。

 暗闇の中に怪しげな2つの光
光を反射する目を頼りに、動物を探します。

 木の陰からシカがひょっこり
調査隊の様子を不思議そうに伺っていました。

 大人のメスジカを発見
お腹は見えませんが出産を控えて大きくなっているかもしれません。
普段は群れで行動しますが、出産を控えたメスは群れを離れ単独で行動するようになります。

運良く、生まれて間もない子ジカに出会えました。
背中の斑模様は、林内の木漏れ日の中では保護色となります。
この模様は、鹿の子(かのこ)模様と呼ばれますが、子ジカだけでなく、大人のシカも夏になると、同様の毛に生え替わります。

生まれてから数週間の間、母ジカは子ジカを茂みの中に隠し、食事に出かけます。
しかし、シカの増加により下層植生を食べ尽くされた宮崎演習林内では、子ジカが隠れるための茂みもほとんどありません。


生きる(栄養をとる)ために、生きる(身を守る)ための下層植生を食べ尽くす・・・
宮崎演習林のシカ問題は、非常に深刻です。

2019.05.31 murata

源流の地

象徴的な風景です。

 場所は宮崎演習林第28林班、広野山(1272m)の山頂直下。
稜線の左側がキレット状に崩れているのが分かります。
一ツ瀬川を挟んで対岸を望むと、高塚山(1290m)の稜線が大きく崩壊しています。

九州脊梁山地の只中にあり、一ツ瀬川の源流に位置するこの地域は、高標高で急峻な地形です。
それに加えて多雨地帯なので、水害、土砂災害の多発地でもあります。
そのため、例年、梅雨~台風時期になると災害は身近なものとして警戒されています。

上掲の写真、災害の爪あとではありますが、少し視点を変えてみましょう。

誰もが小学生の時、理科の授業で習ったと思います。
日本の国土は、山地からの土砂を川が下流に運び平野部と海岸線をつくった、と。
眼前に広がるのは、源流域が崩れ、川がその土砂を下流に押し流す、まさにその景色です。
その最前線を目の当たりにしている、そう思うと感慨深いものがあります。

椎葉村大河内、源流の地に宮崎演習林はあります。
                           (2019.05.16 D.O)