調査シーズンの到来

  5月に入り、演習林の山頂まで落葉樹の葉が芽吹きました。ヤマザクラもすでに散り、今はエゴノキ、ホオノキ、マルバウツギ、ガクウツギ、ヤマツツジなどの樹木の花が咲いています。暖温帯に比べて、落葉樹の多い冷温帯では春になって生き物が動き出す様子がより鮮明で気持ちが良いものです。


新緑が目に鮮やかに


ヤマツツジの花

先日、大学院生のUさんの研究補助でパントラップ法によるハチ類の捕獲を手伝いました。パントラップ法とは昆虫が黄色や白色に誘引される習性を利用した捕獲方法で、黄色のプラスチック皿に石鹸水を張り、一定時間放置して皿に落下した昆虫を捕獲するというものです。Uさんによるとハチの中には花の蜜を吸わず、昆虫やクモを狩ったり、他の昆虫の体内に寄生するものなど、多様な生態があるそうです。


トラップの内容物を回収する


トラップに落ちた虫たち

虫を回収する際は漏斗とお茶パックを用いて虫を漉しとり、エタノールに保存して種同定します。一般的に昆虫は気温や天気によって行動が影響されやすく、雨や低温ではあまり動かないためトラップでの捕獲も少なくなります。今週は気温が低めだったものの、前回の4月の調査に比べると種類がやや増えたようです。

小生は虫には詳しくないものの、調査を行った天然林、スギ、ヒノキ人工林、開放地では、それぞれに落下する虫たちの顔ぶれが異なるようです。環境や季節によってさまざまな虫たちが棲み分けしている様子を垣間見ることができました。


2022.5.22 NT