椎葉の道あるある

 今回は少し趣向を変えて、椎葉あるあるを紹介しようと思います。ご存知のとおり、椎葉村は人口2500人弱、人口密度5人弱の山深い村です。ですので、車の運転事情も都会とは大きく異なります。そこで、椎葉の道でよく起こる、でも、都会ではあまり起こらない色んな事を紹介したいと思います。

あるある① どの車にだれが乗っているかだいたいわかる。

あるある② 知り合いとすれ違うときには、「プッ」とクラクションであいさつ。おかげさまで、プッ、という最適クラクションがうまくできるようになりました。慣れないと、「ブーーー!!」となり、威圧しているように聞こえてしまいます。

あるある③ 国道がとても狭く、離合困難箇所が多い。例えば下の写真は、通勤路で私が一番嫌いなゾーン。側溝があるので寄りすぎると脱輪してしまう。。離合する場所までの距離が遠いので、泣きながらバックします。離合できる場所がわずかな幅のときはさらにつらいです。


あるある④ 脱輪事件は数年に1度は誰かが起こす。ちなみに今年、既に私が起こしました。国道から事務所に入る道がとても狭く、急かつ登坂で、ちょうど向かいから車が来たのでバックしようとすると脱輪して大変な目にあいました、、(そのときは、近所の人と演習林技術スタッフの力により、大事には至りませんでした、、、)

あるある⑤ 集落の人が乗った車とすれ違うときに止まるように合図され、何かと思うとほうれん草をくれたりする。ありがとうございます~!

あるある⑥ だいたいどこかで道路工事をしていて通行規制がある。通れる時間を逃すと大幅に遠回りする必要がある(だいたいプラス30分くらい)ので、1日の行動の中に通行規制が組み込まれるようになります。

あるある⑦ 道が崩れて、工事が始まって、工事している最中にやっぱりまた道が崩れて通れなくなる。でもだいたい数日で通れるようになる。

すぐに通れるようになりました~!


あるある⑧ 工事のダンプ車など、大型車とすれ違うのが恐怖。最近、トラック10台隊列が土砂運びを毎日4往復していて、それらのトラックと離合困難な場所ですれ違わないかドキドキします。向こうは隊列なので、こちらがバックするしかありません。あまり考えてもストレスになるのですが、やはり毎日、すれ違わないように祈っています。。(ちなみに今朝は11台とすれ違いました。ちーん)

あるある⑨ 工事現場で交通整理している人の顔を覚える、そして、その現場が終わって見なくなったと思ったら、違う工事現場で再会する。去年だけで3回ほどありました。意外な現場で交通整理したりしているので、とてもびっくりして、なんだか嬉しくなって声をかけたくなります。(かけませんが、、)

あるある⑩ 道に大きな石が落ちていてパンクしてしまう危険がある。今年、やってしまいました、、私の前方不注意だったのですが、思いっきり大きな石を結構なスピードで踏んでしまい、バーストこそしなかったものの、そのまま運転しているとアクセル踏んでも加速しないし、なんかハンドルが右に傾くなあ、と思い、停車して確認すると前輪左側のタイヤが見事にパンクしていました。私はタイヤ交換ができないのですが、時間的に技術職員がとおるはずだと期待して待っていたら、数分後にちょうど通りかかり、タイヤ交換してもらい、難を逃れました。街中であればJAFに来てもらったらいいのですが、こういう場所では自分で処理できた方が良いので、このあと、タイヤ交換講座を開いてもらいました。。(ちなみにパンクしたタイヤは、数週間に購入した新品のものでした。。涙)

あるある11 車窓の景色が素晴らしい。季節ごとにいろんな花が咲いて、標高も200mー1000mを通るので、季節のうつろいが標高によって違うのがまた素晴らしい。ついこないだまではウツギやエゴノキ、ユキノシタ、イワガラミなどの白い花が咲いていて、また季節がひとつ巡ったなあ~、と実感することができます。シカはもちろん、アカヤマドリ(鳥)、アナグマなどにも会えます。ヤマセミを一度だけ見ましたが、大感激しました!というわけで、車窓からの風景をぜひ楽しんでください!


車窓からとてもきれいに紅葉を見ることができます

市房ダム沿いのサクラは熊本でも有名みたいです



市房ダムは冬になると霧がでてきます

右が市房、左が津野岳です。多良木からの景色です。

以上、椎葉の道あるあるでした。


5月6月は白い花

春の終わりから梅雨の時期,
山間部では小さな白い花を付けた低木が目立ちます.
ウツギ(アジサイ科)
目立ちます,と言っても…
春から続いたサクラ,ミツバツツジ,アケボノツツジ,フジ……といった華やかなものたちと比べるといまいち目を引かないのですよね.そうして毎年気になりながら何となく見過ごしてしまっていたこの季節の花に,今回は注目してみました.


改めてウツギから.
ウツギ(空木)の名前通りの中空の軽い材,大雑把な枝の作り方など,
何となく「雑・適当」な印象がある樹体ですが,花は端正です.
つぼみが玉になっているのが良いと思う
同じウツギ属のマルバウツギ

椎葉の道端でよく見かけるツクシヤブウツギ.
咲きはじめは白花ですが,時間が経つにつれて赤く色づきます.
ツクシヤブウツギ(スイカズラ科)
「ウツギ」の名ですが先の種とは違ってスイカズラ科に属します(中空の軽い材を持つ低木に「ウツギ」が付く)


ウツギと並んで道路脇で目立つのがこの野バラ

ヤブイバラ(バラ科)
良い香りがあるそうです.気付かなかった.
近縁のノイバラはごつい棘がやたらと服や皮膚に引っかかって困りますが(野外調査の時など滅びればいいとよく思う),ヤブイバラはそれより繊細そうで,もう少し良い印象を持っています.木登りが好きで,高さ10m以上の樹冠にいることもあります.


エゴノキもきれいな白い花をたくさん咲かせます.けれど,樹冠の中で下を向いているので目立たず,遠目ではなかなかわかりません.
エゴノキ(エゴノキ科)
落ちた花で地面が白くなっているのを見て気づく
エゴの花はすっきりとしていて良いですね.花が落ちたあと,白くて丸い実が枝からたくさんぶら下がる様子も面白いと思います.


美しいけれど葉陰に隠れて目立たない花と言えば,ヒメシャラも.
ヒメシャラ(ツバキ科)
雨に濡れると半ば透き通るようです
つるつるの赤い幹で有名な高木です.高木だから目に付かないということもあるのですが,十分目が届くサイズの個体であっても(事務所前に数本あります),開花に気づかぬまま花期が終わっていた,ということが多いのです.

まだまだ,ガマズミなどの低木(亜高木)や,
(左)ミヤマガマズミ,(右)コバノガマズミ(ガマズミ科)

(左)カマツカ(バラ科),(右)ハイノキ(ハイノキ科)
つる植物にも,
(左上)サルナシ(マタタビ科),(右上)テイカカズラ(キョウチクトウ科),(左下)スイカズラ(スイカズラ科),(右下)おまけでマタタビの葉(マタタビ科)
マタタビは花の季節に葉が白くなります.
いかがでしょう.分類群を越えて白い花が多く,何となく似た雰囲気がある気がします.


春先には赤・黄・紫など鮮やかな色が目立ち,その後は白花が多くなる,ということにもちゃんと意味があるのでしょうね.虫とのお付き合いとか,いろいろと.私には見つけにくいエゴノキやヒメシャラにも,ハチから甲虫までたくさん虫が集まっていました.

今回は改めてこの季節の白い花々に注目してみました.風景の中ではいまひとつ目を引かなかったのですが,よく見ると白特有の品の良さ,清楚さのようなものが感じられました.そして,白い花は雨に濡れるとよりきれいに見えます.この季節に映える色なのかもしれません.

2021.6.17 市橋

梅雨の合間の野外調査

  例年より早い梅雨入りですが、ここ2週間は比較的良い天気が続いたので学生さんの野外調査の手伝いに行ってきました。調査地は三方岳の山頂に近いブナ林です。元々はスズタケというササが繁茂していましたが、シカによる食害でスズタケが消滅した事で土壌侵食が深刻化している場所です。

 

 
嵐でへし折れたブナの老木。幹はだいぶ腐朽が進んでいます。

 

 
土壌侵食により根がむき出しのホオノキ。


今回は成長錐でブナの木材コアを採取しました。成長錐は錐を人力で樹幹にねじ込み木材を得るための道具で、樹木を伐り倒さずに樹齢を調べたり木材の分析をするために有効です。今回は20㎝程度の長さのコア採取で事足りるということでわりとスムーズに試料採取ができました。


成長錐をねじ込む。

 
採取できた木材コア。


2021/06/14 TN