続・青空

   直前の投稿「山頂と空の青さ」と同じ日同じ場所の津野岳登山です。この日は本当にいい天気で,こんな気持ちのいい日に山登りが出来るなんて贅沢な仕事…と言い合いながら楽しく登山しました。外気は0.5℃というのに太陽さんがあたっている場所はポカポカで,質の高い昼寝が出来たことはいうまでもありません。大層心地のいいある日でした。

前投稿記事3枚目写真を撮る姿を撮る 左奥:市房山 中央右奥:霧島連山
 
アセビの花芽と青空   津野岳山頂直下

  2021.12.22 sa

山頂と空の青さ

宮崎演習林では3か所で気温を測定していますが、そのうちの1か所が演習林で1番高い山、津野岳(江代山)です。年2回、津野岳に登って気温を測定している機器のデータ回収や電池交換、メンテナンス作業などを行っています。

つい先日、その気象関係の業務のため津野岳に行ってきたのですが、とても天気のいい日で気が付けば空の写真を大量に撮っていましたので、1部を紹介します。 

中腹から尾根を目指した時もふと青空が目に入ります

尾根から山頂へ

奥にはうっすら霧島連山らしきものも

山頂から頭上を撮るときれいな色合い

たまには空を見上げてのんびりすることで、コロナ渦のストレスも緩和できるかもしれませんね。

ちなみに肝心の津野岳の温度はなんと0.5℃!今後ますます冷え込みが続くと、年明けには例年-10.0℃程度まで下がります。寒さにはみなさんもお気を付けください。



                         12/17(金)山内(耕)


九州大学企画部長一行来演

  令和3年12月9日(木)~10日(金)に本学・企画部長、企画課、農学部等財務課ほか一行が、宮崎演習林視察のため、来演しました。

 実際に宮崎演習林内に入ってもらい、 獣害対策や公開講座での森づくり体験の様子の説明及び、人吉試験地での被災から災害復旧までの状況を説明しました。

 

獣害ネットの説明

公開講座の森づくり体験の説明

林内視察

林内で記念撮影

2021/12/16吉本

奥球磨の霊峰、市房山の初冠雪

最近めっきり寒いなあ、と思っていたら、市房山に雪が降りました。 
つい先日まで、秋真っ盛りだったのに、月日の経つのは早いものだと、しみじみと思いました。

真ん中のギザギザした山の山頂が少し白くなっているのが分かるでしょうか、、、。

ちょうど1か月前に、市房山に登った時は、紅葉真っ盛りでした。
その時の様子をご紹介します。


まずは、登山道の入り口です。2020年7月4日の豪雨で破壊された橋がまだそのまま残っています、、、。


市房神社の参道です。1000年近く生きていそうな巨大なスギが迎えてくれます。


こちらは最近倒れたと思われるスギの巨木です。こういうこともあるのですね。


参道が終り、いよいよ本格的な登山道になってきたところで写真をとりました。
枯れ木も山の賑わい、とはこのことですね。


山頂付近の様子です。演習林内の三方岳や、球磨の白髪岳の山頂と同様、かなり衰退した森林のようです。ブナは少なかったような、、、。


約3時間ほどで、山頂に到着しました。割と斜度のある登りが続き(平坦な道が少ない)、なかなかの登山でした。
せっかく山頂に来たのですが、ちょうどガスが出て、何も見えませんでした、、、。やれやれです。


諦めて下山します。お馴染みのアセビの森が山頂付近にもありました。


下山の途中、霧が晴れて、綺麗な景色を、樹木ごしに少し見ることができました。
紅葉がとてもきれいでした。写真には残していませんでしたが、日本庭園のように美しい場所もありました。


登山道の途中にある市房神社です。ひっそりとした佇まいです。こんなにも山の中腹にあるとは思いませんでした。途中まで車で来れるとはいえ、維持管理がとても大変そうです。


登山道入り口にあるキャンプ場のロッジです。とてもよさそうなので、暖かくなったら、ぜひ泊まってみたいです。もちろん冬も営業しているのでしょうが、寒いのはどうも苦手でして、、、。

車で球磨盆地から宮崎演習林に出勤する際、毎日のように拝んでいる市房山に、ようやく登ることができました。とても素晴らしい森と景色(おそらく)で、また近いうちに登りたいと思います。

2012.12.8 TK



九州大学事務局長一行来演

  令和3年11月10日(水)~11日(木)に本学・事務局長、総務部長、総務課、資産活用課ほか一行が、宮崎演習林視察のため、来演しました。

 宮崎演習林庁舎での概要説明、実際の林内での状況説明及び、人吉試験地の被災から災害復旧までの状況を説明しました。

 

宮崎演習林庁舎内で概要説明

林内視察

人吉試験地視察


林内で記念撮影
2021/11/12 吉本

防鹿柵のメンテナンス作業


写真は防鹿柵メンテナンス時に進行方向を写した写真です。

写真では左隅に少しネットが写っているだけで後はススキしか見えませんが、現地でもススキしか見えません。手探り足探りで進みます。

こんな場所、獣も通らないんじゃないか?と思えてきた頃に、動物の侵入跡に出くわました。

下部から潜り込んだ跡
ススキが茂っている箇所ばかりではありませんが、見回るといろいろな不具合が起きています。
倒木

支柱の倒れ

破れ
防鹿柵の張り方や造林地の囲い方で効果は変わって来るようです。
しかしいずれの場合でも、その後のメンテナンスを怠ると効果は失われてしまいます。
地味な作業ですが、地道に続けることで人工林の成林につながることを期待します。

nanki

2021年公開講座 椎葉の奥座敷 秋の紅葉探索と森づくり

 10月23-24日に公開講座が行われました。まだ紅葉には早かったですが、とても良いお天気で充実した2日間でした。

まずは講義からです。樹木のことや森を見るときのポイント、
森の持つ機能などを知ってもらいます。
場所は椎葉村の「Katerie(かてりえ)」です。
キッズスペース、図書館、ボルダリングなどのある交流施設です。
とてもおしゃれで機能的で大好きな場所です。


講義のあと、上椎葉ダム(1955年竣工)の見学に行きました。
当時、延岡からセメントを運ぶのに、なんと索道が利用されていたそうです!
つまり、60kmにもおよぶロープウェイでセメントを運んでいたとのこと!!
工事の様子がわかるYou tubeを発見しました!
このリンクの7:00あたりをご覧ください。


2日目は軽い山登りです。大河内峠からゆっくり、三方岳にかけて稜線を登っていきます。(今年は三方岳までは行きませんでした。)

ゆっくり森を歩きながら、森や木の解説をします。
どんぐり拾いもしました!

山から下りたあとは、森づくりということで、単木防除ネットの設置です。最近、全国のいろんなところでシカの個体数増加が問題となっていますが、これまでこのブログでも紹介している通り、椎葉は1980年頃からシカが増え始め、2000年頃には下層植生(森林の下の方に生えている植物、ササなど。)が食害を受けて公園のような景観になっています(ササの変化についてはこちらの記事をどうそ)。

林業も大きな被害を受けていて、植栽した苗は何らかの対策をしないとすぐに食べられてしまいます。防除柵をはっても、それを維持するのはとても困難です(コチラ参照)。宮崎演習林としても色々な試行錯誤をしていますが、なかなかこれという対策はありません。伐採後、すみやかに新しい苗を植栽し、森づくりをしなければ、森林の多面的機能を維持することが難しくなります。

ということで、今回は宮崎演習林ではあまりやってこなかった単木で苗を守る単木防除柵を公開講座の中で作ってみました。材料は3つ、市販のヘキサチューブ(黄)、亀甲金網(綠)、玉ねぎネット(赤)です。苗はウチの山から実生(芽生えてすぐの木の赤ちゃん)を取ってきて、苗畑で育てたカエデやミズナラなどです。

まずは苗の植栽から。みなさんとても上手です。

作業はとても簡単。支柱を立てて、それに金網を取り付けます。

できあがり!とてもカラフルになりました~!

意外に玉ねぎネットが柔軟性もあって施工も簡単で良いのではないか?!となりました。これからの成長が楽しみですね!年に一度、この苗たちの成長具合をブログで紹介する予定です。楽しみにしていてください!

そのあとはウチの山で行っている調査地などの見学に行きました。

こちらはシカ柵ネットの中(右)と外(左)です。
柵内ではシカの食害がないので、次世代を担う実生が元気に育っていますね。
色んな樹種の実生が出ています。
ネットがないと全てシカに食べられてしまうので
大人の立派な樹木が死んだとき、そのあと誰もいないので
森林の中に空き地が出来てしまいます。
それがどんどん広がり、森林の裸地化が進む危険があります。
どうしたらよいのかは分かりませんが、宮崎演習林では
次世代の子供たちを苗畑で育てたり、柵を作ったり、
どうにか森が維持できるように試行錯誤しているところです。

というわけで、2020年2019年などとはちょっと趣向を変えた今年の公開講座でした。コロナ禍で、移動は自家用車、ということもあり、行ける範囲が限られていますが、また来年、魅力のある公開講座にしたいと思いますので、ぜひ遊びに来てください!

Katayama


ハンショウヅルと雑草栽培

 事務所前に植えたタカネハンショウヅルの花が咲きました.

タカネハンショウヅル(キンポウゲ科)
全体図
ちなみに事務所は外壁工事中

クレマチス(センニンソウ属)の一種で,木本性のつる植物.火事を知らせる半鐘に花が似ているのでその名前があります(タカネは高嶺).
近所の半鐘

近所の大きな個体から種をもらいました.まだ植えて2年,思っていたより早かったです.やっぱり花が咲くと嬉しいですね.
実生時代

もともと,植物に限らず何かを育てるタイプではないのですが,宮崎に来てからなんとなく種をとってきて植えるようになっています.とは言え,ちゃんと育てる自信はやっぱりないので,勝手に育つような逞しい雑草を好んでます.
最初の年はキュウリグサと,勝手に生えてきたチヂミザサ
コチヂミザサ?意外に色鮮やか

今年はカタバミ
芽生えがかわいい

このような種は少しくらい乾いても死なないし,光の足りない室内で育つくらいの方が,多少なりとも繊細感が出て良いのではないかと,個人的に思っています.

まあ好みはあるでしょうが,机に生きた植物がいるというのはなかなか良いものです.興味はあるけど繊細に育てる自信がないという方は,適当な雑草から始めてみてはいかがでしょうか.
カタバミすら枯れるとまた自信をなくしますが

2021.10.08 市橋

スズタケと森の風景

 宮崎演習林を含む九州山地ではかつて森の地面(林床)の大半はスズタケというササの一種に覆われていました。人の背丈を超える濃いササ藪の中に広葉樹や針葉樹が混生する景観が本来の森林でした。しかし、宮崎演習林では1980年代後半からスズタケの密度が減少し、2000年代初めには限られた場所にだけスズタケが残存する程度に激減しました。その原因はシカ(キュウシュウジカ)がスズタケを繰り返し食べたことによります。シカの個体数の増加に伴い、スズタケだけでなく他の多くの植物もシカに食べ尽くされ、林業的に植栽される苗木も防除柵で保護しなくてはまともに成長することを期待できなくなりました。結果的に演習林の林床は公園のように見通しが良くなり、シカが食べない有毒植物ばかりが繁茂する奇妙な景観を呈するところが増えてきました。スズタケがなくなったことで地面を雨滴から守る落ち葉の層も減少し、雨の度に土壌が流出するなど森林生態系が大きく改変されています。

 こうした背景を踏まえ、宮崎演習林では定期的に演習林全域にわたりスズタケの分布を記録して林床の状況の把握につとめています。今回はスズタケが比較的残る津野岳団地を巡りました。

旺盛に繁茂したスズタケ。これが本来の林床。

崖の近くで一部食べられているスズタケ。

繰り返し食べられて枯死したスズタケ。桿は枯れても数年は残る。

スズタケの地下茎。白骨のようでもの哀しい。

かくして虚ろな空き地ができあがります。


 今回の調査でスズタケが復活しているところは無く、以前からスズタケが濃く生残していた範囲も狭まっていました。しかし、崖や急斜面などシカが立ち入れない場所にはスズタケが生き残っています。元通りに回復するには途方もない年月がかかるでしょうが、スズタケが絶滅することは無さそうです。
                                                                                                     2021/10/7 NT