携帯圏外でも通信可能となりました!

 こんにちは。今回は都会の人からは想像もつかないことを紹介したいと思います。


都会の人が想像もつかないこと、そう、それは宮崎演習林のほとんどのエリアが携帯圏外であるということです。事務所周辺は4Gなのですが、そこから1kmくらい離れてしまうともう圏外。普段ならそれほどは困らないのですが、演習林が圏外であることはとても大きな問題なのです。

何が問題かというと、安全が確保できないということです。(常にSNSをチェックできないのはたいした問題ではないのです。)

我々が森に入るとき、大小様々な危険が常に伴います。例えば学生を連れた実習中に急病人が出たとき、救急車が来てくれるのに1時間程度かかるのに、そもそも救急車を呼ぶためには事務所まで30-60分かけて戻らなければなりません。一刻を争う場合(例えばハチに刺されてアナフェラキシーショック状態となったなど)、出来るだけ早く救急車を要請する必要があります。

小さな危険(というかトラブル)としては、例えばバッテリーがあがった、脱輪したなど、誰かの助けが必要なとき、そもそも車が使えないので、電波のあるところまで歩くのに2時間くらいはかかると思います。まあ、歩けばいいのですが大変ですよね。。

無線を使えばいいでしょ、と思われるかもしれません。はい、もちろん我々は無線を常に携帯しています。ただ、山が深く地形が複雑なため、事務所から無線の電波が届かないエリアがたくさんあります。

このような環境で調査や実習を行うのに少なからずストレスがありました。

それを解消するツールがあるのです!今回、この問題を解決するべく導入したのがGeoChatというシステムです。これは、独自の電波を使って通信する方法で、専用の機械を使ってメッセージを送受信します。子機の位置情報もWeb上からリアルタイムで確認でき、非常時に圏外からメッセージを送ることで、トラブルに対して迅速な対応をすることが可能となります。

もともとこの技術は、農作物をイノシシなどの獣から守るために設置したわなの状況を遠隔で把握するために構築されたものらしいです(オリワナシステム)。福岡演習林でも獣害がひどく、イノシシ捕獲用のワナを設置していますが、実はこれ、みまわりするのが重労働なのです。そのような農家さんの重労働を軽減するため、わなにかかったら知らせてくれるネットワークを構築されました。携帯電話などのネット回線を利用しないため、色々なところに設置したわなにこのシステムの子機をつけ、見守りが可能になったようです。

その他にも災害時に携帯電話の電波が使えなくなったり電気が使えなくなったとしても通信できるように、球磨郡多良木町では非常時の通信システムとしてこれを導入したようです。

このようなシステムを導入して課題となるのはその運用方法です。ウチの娘のこども園では毎月避難訓練をしていますが、それを見習って、非常時にきちんと対応できるように、森に出る人と事務所に残っている人が一緒に避難訓練をしなければ、と思っています。誰もが安全を感じて森に入られるように頑張ります!

三方岳頂上付近に中継機を設置しました!


Katayama

スズメバチの巣の中

 去年の夏、人吉試験地の生垣の中にスズメバチの巣が見つかりました。

たぶんコガタスズメバチ
下に写真がありますが、それほど小型には見えません

発見した技術班によると、非常におとなしい?のでしばらく様子を見ましょうとのこと(事務所構内で発見されると通常は取り除いてくれる)。

すぐ後ろの職員宿舎に住まわせていただいている身としては、えっ?と思わないでもなかったけれど、まあそういうことなので遠くから見守っていました。

バリケードは作った

結局、家の方には飛んでこないし、巣に近づいても別に気にしてなさそう(本当におとなしそう)だったので、こちらも気にしなくなり、忙しく出入りする働きバチをぼんやり眺めているようなこともありました。


そうして平和に冬を迎え、空き家になった巣を収穫して中を覗いてみたのでご紹介します。

4層見えますが一番下を落としてしまったので5層構造
下層ほど新しく(後の時期に)作られたもののようです

下層はきれいなハニカム構造が残り、
冬までに羽化できなかったのであろう蛹も残っていました
ついでに成虫の死骸もいくつか出てきました。びっくりした。
その下に映っているのが巣の一番下の新しい層で、ここはほとんど羽化できなかったよう

あの巣の中ってこんな感じなんですね。これまで何となく気になりつつ、けれど巣からは逃げ続けてきたので本当に初めての経験でした。立体構造や質感の美しさも含め、とても迫力を感じました。
細部もきれい

おまけで、これも前から何となく気になっていたサルノコシカケ(の仲間の何か)を先日切ってみた時の断面写真です。枯れ木や生木の幹に生え、木材を分解して栄養を得る、そして年々大きく成長していくタイプの固いキノコです。

のこぎりで切って軽くやすり掛けした断面

内部はほとんど木材というか、コルクのような質感でした。年輪のような層構造が見えますね。これが年に一つづつ規則的に増えていくものなのか私は知りませんが(ちょっと調べればわかることだと思いますが、とりあえずすみません)、何かしら成長のパターンを反映しているように見えます。

これもまた、ああこんな感じなんだと初めて知ったのですが、やっぱり外から眺めているだけでなく、ちゃんと手に取って見てみないといけないなと改めて思いました。

2023.5.13 市橋