匙を投げる

作業台にずらりとならんだチェーンソー、これ全部、使用後の整備待ちです。
手入れが大事と分かっていても、これだけの数を前にすると、さすがに匙を投げたくなります。

演習林は、教育と研究を目的とした施設です。そのなかで、技術スタッフは森林を管理する役割を担います。林業事業体でないにせよ、山での仕事にチェーンソーは必須のツールです。また、作業内容に合わせて機種を取っかえ引っ変えしますので、仕事がひと段落するとご覧の状態、と言うわけです。
さて、見ていても始まらないので、手入れにかかります。
チェーンソーは、ハードな使用に耐えるようシンプルで頑丈なつくりとなっています。また、写真のように、あちこち部品を外して手を入れることができます。
つまり、「手入れの煩わしさは使用者が受け持つ」ことが前提となっています。

フィルター清掃、キャブレター調整、スターターやスプロケットの点検に加えてソーチェンの目立て等々。黙々と手入れします。一日かけて6台分の整備を終わらせました。
整備を終えたSTIHL社製の024、古い機種ですがカタログスペック以上の性能を感じます。

チェーンソーに初めて触れてから20年以上になりますが、自在に操れるようになったのはここ数年です。
ここに赴任するまで、使ったチェーンソーの手入れは、古参のOBや馴染みの機械屋に任せがちでした。
しかし、ここは僻遠の地、直営の労務もいませんし、取引先の機械屋も峠のはるか向こうです。先ずは何でも自分たちでやらなくてはなりません。
自らチェーンソーを手入れをするうちに、その構造を熟知し、勘所も押さえれるようになったことで、技能が上達したと思います。
何ごとも「基本が大事」、という原則を体得したのでしょう。


















よく手入れされたチェーンソーは、その性能を現場でいかんなく発揮します。
また、使用に際してのストレスの少なさは、作業の安全性も高めます。
となると、手入れを厭うくらいで、匙を投げてはいけませんね。
(2019.12.19 D.O)

冬の始まり

12月も半ばになり,椎葉もめっきりと寒くなってきました.

2週間くらい前まで,まだ紅葉も残っていたのですが,

11月10日の大藪川沿い
今年は11月に入ってからきれいに色づきました

落葉樹はもうすっかり葉を落としています.


よく晴れた日には森の中まで光が入ります.夏の森とはまた違い,すっきりとした気持ち良さがあります.

林道の水たまりは午後遅くなっても凍っていました

事務所近くの木の枝に,柔らかそうな綿毛玉が並んでいました.


タカネハンショウヅルというクレマチスの仲間,周りの植物に絡み付いて伸び広がる,つる植物の一つです.そのうちに飛び立ってどこかに種を運んでいくのでしょう.

近くで見ると羽毛みたい

秋にこんな花を咲かせます
慎ましいタイプのつる植物

秋の終わりごろから,テントウムシが冬ごもりの場所を求め,事務所や家の中にまで集まってきてます.

網戸のサッシの隙間などにはもっとびっしり集合してますが,写真は遠慮しました

暖房を入れて暖かくなると,部屋の中を歩き回り飛び回ります.こちらとしてはテントウムシくらい別に良いのですが(何かが少し違うとこれが全部カメムシになってもう少し困る),そんなことでは冬を越す前に力尽きるのでしょう.何かした方が良いのだろうかとぼんやり考えながらそのまま静観しています.

手に乗るとかわいく思える

そろそろ本格的な冬になります.

2019.12.13 市橋