春の終わりから梅雨の時期,
山間部では小さな白い花を付けた低木が目立ちます.
目立ちます,と言っても…
春から続いたサクラ,ミツバツツジ,アケボノツツジ,フジ……といった華やかなものたちと比べるといまいち目を引かないのですよね.そうして毎年気になりながら何となく見過ごしてしまっていたこの季節の花に,今回は注目してみました.
改めてウツギから.
椎葉の道端でよく見かけるツクシヤブウツギ.
咲きはじめは白花ですが,時間が経つにつれて赤く色づきます.
「ウツギ」の名ですが先の種とは違ってスイカズラ科に属します(中空の軽い材を持つ低木に「ウツギ」が付く)
ウツギと並んで道路脇で目立つのがこの野バラ
近縁のノイバラはごつい棘がやたらと服や皮膚に引っかかって困りますが(野外調査の時など滅びればいいとよく思う),ヤブイバラはそれより繊細そうで,もう少し良い印象を持っています.木登りが好きで,高さ10m以上の樹冠にいることもあります.
エゴノキもきれいな白い花をたくさん咲かせます.けれど,樹冠の中で下を向いているので目立たず,遠目ではなかなかわかりません.
エゴの花はすっきりとしていて良いですね.花が落ちたあと,白くて丸い実が枝からたくさんぶら下がる様子も面白いと思います.
ヒメシャラ(ツバキ科) 雨に濡れると半ば透き通るようです |
まだまだ,ガマズミなどの低木(亜高木)や,
(左上)サルナシ(マタタビ科),(右上)テイカカズラ(キョウチクトウ科),(左下)スイカズラ(スイカズラ科),(右下)おまけでマタタビの葉(マタタビ科) マタタビは花の季節に葉が白くなります. |
春先には赤・黄・紫など鮮やかな色が目立ち,その後は白花が多くなる,ということにもちゃんと意味があるのでしょうね.虫とのお付き合いとか,いろいろと.私には見つけにくいエゴノキやヒメシャラにも,ハチから甲虫までたくさん虫が集まっていました.
今回は改めてこの季節の白い花々に注目してみました.風景の中ではいまひとつ目を引かなかったのですが,よく見ると白特有の品の良さ,清楚さのようなものが感じられました.そして,白い花は雨に濡れるとよりきれいに見えます.この季節に映える色なのかもしれません.
2021.6.17 市橋