匙を投げる

作業台にずらりとならんだチェーンソー、これ全部、使用後の整備待ちです。
手入れが大事と分かっていても、これだけの数を前にすると、さすがに匙を投げたくなります。

演習林は、教育と研究を目的とした施設です。そのなかで、技術スタッフは森林を管理する役割を担います。林業事業体でないにせよ、山での仕事にチェーンソーは必須のツールです。また、作業内容に合わせて機種を取っかえ引っ変えしますので、仕事がひと段落するとご覧の状態、と言うわけです。
さて、見ていても始まらないので、手入れにかかります。
チェーンソーは、ハードな使用に耐えるようシンプルで頑丈なつくりとなっています。また、写真のように、あちこち部品を外して手を入れることができます。
つまり、「手入れの煩わしさは使用者が受け持つ」ことが前提となっています。

フィルター清掃、キャブレター調整、スターターやスプロケットの点検に加えてソーチェンの目立て等々。黙々と手入れします。一日かけて6台分の整備を終わらせました。
整備を終えたSTIHL社製の024、古い機種ですがカタログスペック以上の性能を感じます。

チェーンソーに初めて触れてから20年以上になりますが、自在に操れるようになったのはここ数年です。
ここに赴任するまで、使ったチェーンソーの手入れは、古参のOBや馴染みの機械屋に任せがちでした。
しかし、ここは僻遠の地、直営の労務もいませんし、取引先の機械屋も峠のはるか向こうです。先ずは何でも自分たちでやらなくてはなりません。
自らチェーンソーを手入れをするうちに、その構造を熟知し、勘所も押さえれるようになったことで、技能が上達したと思います。
何ごとも「基本が大事」、という原則を体得したのでしょう。


















よく手入れされたチェーンソーは、その性能を現場でいかんなく発揮します。
また、使用に際してのストレスの少なさは、作業の安全性も高めます。
となると、手入れを厭うくらいで、匙を投げてはいけませんね。
(2019.12.19 D.O)