シーボルトミミズ

調査地での作業中,土の中から頭(尻?)がのぞいているのを見つけました.何となく突っついてみたところ,



速い.
そして最後は道路に落ちていったね.ごめん.


シーボルトミミズ,この辺りではカンタロウと呼ばれています.関東で生まれ育った私は比較的最近,九州に来てからその存在を知りました.ミミズらしからぬ色と大きさに衝撃を受けたものですが,動きもミミズ離れしてますね.ただ,そういえば以前どこかでつまみ上げたとき,「全身筋肉」というようなハリのある体をしていたことを思い出し,それはそれで腑に落ちる気もしたのでした.

2019.8.23. 市橋

山の置きみやげ


ちょうど一年前のことです。
間伐予定地の照査中に奇妙なものを見つけました。
ヒノキの造林木にもたれてひっそりとたたずみつつ、
しかし、周囲の景色とは異質な存在感を放ってソレはありました。
一見したところ背負い式の噴霧器に見えます。
製造プレートをみると「合資会社林ポンプ製作所」との記載が。
噴霧器に似ますが、ジェットシューター(背負式消火水のう)かもしれません。
いずれにせよ、かなり古い代物であるのは確かです。

ジェットシューターは山火事のさいに人力での消火に使用します。
ですから山仕事に関わる人にはお馴染みです。
一方、造林当初の林木には病気が出たりしますので、噴霧器を山に持ち込んだ可能性も否めません。

気になって、台帳をひも解いてみると、あった、ありました。
”第21林班○小班、昭和44年(1969)、伐採跡地に火入れ地拵を行った後、スギとヒノキを植栽”
の記述が。
「火入れ地拵」、つまり焼畑と同様に伐採跡地の地表を枝条ごと焼いてしまう地拵作業です。地力の増進が図れる反面、技術的な問題や山火事のリスクもあり最近はめったに行われません。

これではっきりしました。件のモノは50年前のジェットシューターでした。
しかし、どうしてずっと山の中に置き去りにされたのか?
この場所は道路からのアクセスがきわめて悪く、険しい隘路があるだけで、健脚でも小半時を要します。

そんな所に、背中のタンクに水を満載して消火に往復したであろう当時の先輩が、
「やってられるか!」と現地にぶん投げて帰ったとしても不思議ではありません。
植栽後、育林作業で何度か現地に足を運んでいるはずですが、山仕事で疲労しての回収は気が進まなかったのでしょう。
その気持ち、よ~く理解できます。

とはいえ、そのままほったらかしなのも気の毒なので、昨年末に引き揚げてきました。ジェットシューター氏、実に半世紀ぶりの帰還です。

長年風雨にさらされて、すでにその機能は失われていますが、原形をよく留めてます。
山仕事の歴史を語るモノとして、これからは大事に保管したいと思います。
                        (2019.08.14 D.O.)

大河内小学校宿泊学習

ご近所にある大河内小学校の宿泊学習が行われました.
1年生から6年生までみんなで演習林の森を歩き,自分たちの食事をつくり,宿舎に泊まって翌朝そのまま登校する,という体験をします.

出発
全校児童11名(1人残念ながら欠席),今年は1, 2年生が多いです

ヒメシャラ(あかぎ)を見上げる
つるつるの赤い幹は森の中でも目立ちます.見えなかったけど花もきれい

昆虫やカエルなどの小動物はだいたい子供たちに人気がありますね.この日は巨大なミヤマクワガタを見つけて大興奮.
でも持ち歩いている間に元気がなくなってきたので放してやってました
いい姿勢で見送る二人

意外にも(?)キノコも人気がありました.まあ私も好きなのですが,キノコには何か心惹かれるものがありますよね.樹木と共生したり,動植物の遺体を分解したり,とても大切な役割を持った森の一員でもあります.
テングタケに群がる子たち.毒キノコです

1時間強の山道,特に低学年の皆さんは大変ではないかなと思っていましたが,みんな概ね元気に,途中で疲れちゃった子もしっかり最後まで自分の足で歩きました.



夕食はみんなでカレーをつくる
演習林スタッフもご馳走になりました.ありがとうございました

夕食後,懐中電灯を持って外に出て「ライトセンサス体験」を行いました.

夜,暗闇の中で光を当てると,動物の目は強く光って見えます.この性質を利用した動物の個体数調査をライトセンサスと呼び,演習林でも定期的に行っています(5月にもあかぎ通信で報告していますのでご覧ください).

もう帰ろうかという時に1年生の子がシカ3頭発見
いなくなるまでの数分間,みんなで見守りました
「目がビカビカって光ってました」と教えてくれる

そんな遠くまでは行けないし,何か見つかったらいいけど,まあ何もいなくても暗い中を歩くだけでも面白いんじゃないかな,という軽い気持ちで企画されたライトセンサス体験でしたが,最後にシカが出てきて本当に良かったと,子供たちの夢中な顔を見たスタッフ一同で話し合いました.来年はまた考えましょう.


大河内の子供たちは豊かな山に囲まれて暮らしていますが,山の中を歩く機会がそんなに多いわけではないそうです.木や動物や虫やキノコなど,この近所の森で出会ったものに対する素直な反応が一人一人に根付き,知らぬ間に彼らを支えてくれるようになれば良いと思います.

2019.7.27. 市橋

三大学研修会

   九州南部には演習林が3つあります。ここ九州大学宮崎演習林と鹿児島県垂水市にある鹿児島大学農学部附属演習林,宮崎県宮崎市田野町にある宮崎大学農学部附属フィールド科学教育研究センター田野フィールドです。数少ない演習林間での情報交換と交流を目的とした三大学研修会が行われました。
   生憎の雨でしたが,椎葉の山を見て戴くため山へ・・・。足下はかなり悪かったのですが,常日頃山と親しんでおられる方々の山歩きは安定な足取りでした。

雨の林内(34林班)

急斜面のトラバース(34林班)

白熱の情報交換会

   それぞれの演習林がかかえる問題や山の管理方法,実習などで起きる出来事の対応方法など色々な情報を交換できました。考えれば考えるほどどうしたもんかと悩んでしまい答えの出ない内容もありましたが,貴重なご意見ありがとうございました。今後とも協力し合って演習林を盛り上げていきましょうっ。

2019.7.12 sa

森林インストラクター研修会

宮崎演習林森林インストラクター講習会を行いました。
宮崎演習林は教育・研究目的外での一般入林を認めていませんが、
認定したアドバンストインストラクターが同行すれば入林が許可されます。

技術職員による講習会の説明。

山に入る前の体操

栂の木歩道でガイドの実践を行いながら、
ガイドの仕方などについての意見交換をしました。

見どころがないとなんとなく黙って歩いてしまう
まあ、ツガとかブナについて話せばいいと思うんだけどね。

やっぱり楽しい気持ちで演習林の森を歩いてほしいので、
この山の魅力はどこにあるのか、
どんなことがガイドしていて面白いのかとか、
伝えるようにすることが大事だよね。

などいろいろ問題点が出てきて勉強になりました。

宮崎演習林のガイドを希望される方は、下記URLをご確認ください。

2019.7.11. 菱

演習林の最高峰


宮崎演習林内の最高峰、津野岳(1,607m)に登ってきました。


下側がくぼんでいて雨宿りできそうなスペースがあります。
実際に雨宿りした職員もいたとか。 
特徴的なので目印にもなります。 


 根元が空洞になっていますが、こんな状態でもしっかりと枝葉を広げています。


津野岳山頂。地元の人からは江代山のほうが名が知れているようです。


山頂付近はヤマカモジグサという草本で地面が覆われていました。
年々生息域を広げているようです。 
きれいですが他の植生の成長阻害等もあり、一概に良いとは言い切れないです。
来年はどこまで繁茂するのか複雑な心境です。
         

エゴノキの花が満開でした。きれいな写真を撮るのが難しいです... 

道中で多々見られた苔むした石や岩の集団。

     沢の近辺に多いことも相まってどことなく神聖な雰囲気を感じます。

 自然がきれいという考えももちろん大事ですが、森林の管理、保全という視点で山を歩くと、普段とは違った考えになりますね。

                          2019.6.12 山内(耕)

夜の林内

春のライトセンサス調査を行いました。
ライトセンサス調査とは、夜間に車からスポットライトで林内を照らし、野生動物を探す調査のことです。
3日間の調査でシカ66頭に加え、ウサギ、アナグマ、タヌキ、テン、イタチ、ムササビが見られました。

 暗闇の中に怪しげな2つの光
光を反射する目を頼りに、動物を探します。

 木の陰からシカがひょっこり
調査隊の様子を不思議そうに伺っていました。

 大人のメスジカを発見
お腹は見えませんが出産を控えて大きくなっているかもしれません。
普段は群れで行動しますが、出産を控えたメスは群れを離れ単独で行動するようになります。

運良く、生まれて間もない子ジカに出会えました。
背中の斑模様は、林内の木漏れ日の中では保護色となります。
この模様は、鹿の子(かのこ)模様と呼ばれますが、子ジカだけでなく、大人のシカも夏になると、同様の毛に生え替わります。

生まれてから数週間の間、母ジカは子ジカを茂みの中に隠し、食事に出かけます。
しかし、シカの増加により下層植生を食べ尽くされた宮崎演習林内では、子ジカが隠れるための茂みもほとんどありません。


生きる(栄養をとる)ために、生きる(身を守る)ための下層植生を食べ尽くす・・・
宮崎演習林のシカ問題は、非常に深刻です。

2019.05.31 murata