人吉から椎葉への道(1)

6月から北海道勤務になり、私(市橋)個人としてはこれが最後のあかぎ通信の投稿です。最後に何を書こうかなと考えていましたが、なぜか椎葉周辺の道の話にしました。

椎葉村は九州山地の真ん中にあたり、交通アクセスが悪いことで有名です。それだけ、生活の中で道路というものを意識することが多かった気がします。

宮崎演習林は椎葉村の大河内地区にあります。
訪問者は多くの場合、熊本南部の人吉から球磨盆地を通り、宮崎県境の峠を越えることになります。ちなみに、私はこの1年間人吉に住んで椎葉まで通っていました。大河内の人たちにとっても人吉あたりまでが生活圏になります。
Google Mapで見る宮崎演習林とその玄関口・人吉の位置
片道50km強

椎葉村周辺は細い山道が続きます。事務所の前を通る国道388号線はかつて(今も?)「酷道」などと呼ばたり。
ずっとこんな感じ
(ドライブレコーダー画像。上部が青いのは車のフロントグラスの色です)
細いだけなら良いのだけど、しばしば対向車が(時々大きなトラックが)やってきます。
絶望を感じる瞬間
着任した頃は運転が本当に憂鬱で、これからあの道を戻るのかと思うと、麓で温泉に入っていてもくつろげませんでした。じきに慣れましたけど。

けれど、最近は少し様子が変わってきました。
もともと、熊本・宮崎県境(湯山峠)を越える峠道は地域でも通りにくい道の一つ(国道としては)だったのですが、私が在任中の5年の間に、じわじわと道が広がり、また見通しも良くなっていきました。
峠付近の同じ場所(2020年と23年)

Google Earthで見る2016年と22年の峠道
空から見えるようになりました
この工事のため長年大胆な通行規制が敷かれている(昼間は決まった時間しか通れない)ことには色々と思うところもありますが、確かにここ1年くらい運転にストレスを感じることがめっきり減った気がします。

住民としては、こうして行き来が楽になることはとても嬉しいのですが、村も宮崎演習林も「秘境」を売りにしているところがあるので、あまり便利になるとアイデンティティに関わってくるかもしれません。

まあ全体として不自由が多いし、台風などの大雨で道が崩れることもしばしばありますが(今回書きませんでしたが大問題です)、色々な動物が歩いていたり、きれいな風景があったりと、面白いこともたくさんあります。
春の道端のお花畑

秋の終わり頃

珍しい大雪
ちなみに最後の写真は、ダンプが立ち往生してしまって道をふさぎ、仲良く待たされているところです(車列の前は宮演のEさんとK先生)。待っている間に私の車も動けなくなり、この後一人で峠に取り残されました。寂しかったです。

人吉球磨の話も書くつもりですが、長くなったのでまた改めます。

2023.6.13 市橋