寒波が過ぎ、宮崎演習林はいささか気温が上がっています。先週までは地面が凍り付いて一部の作業や路面補修が不可能だったのですが、急に緩んだようです。九州山地の冬は氷点下の気温も珍しくないですが、天気が良いと日中は10℃くらいまで上がることもあります。最低気温と最高気温の差が大きく、特に日向の南~西斜面では夜間と日中で地面の凍結と融解が繰り返されます。
冬季の法面土砂の掘削の様子。地表だけ凍って庇状になっている。
その結果、生じるのが落石です。落石の原因は降雨・降雪、強風、凍結融解、地震などありますが、宮崎演習林の冬では主に凍結融解が原因の落石が頻発します。岩の亀裂や層理にたまった水分が凍結融解を繰り返すことで氷の楔が岩を砕いていき、日中に融けて支えを失うことで下方に落下していくのです。
凍結融解による落石の例
落石は車両の通行の妨げになるため、その都度除去します。人力で動く程度の落石は良いのですが、大きな落石や道いっぱいに広がった土砂は重機で取り除くことになります。
一方、夏季は大雨や台風の際に、雨水や強風によって落石が発生します。冬の落石に比べると土壌や樹木なども巻き込んで落ちてくることが特徴です。
大雨で落ちてきた崩土を取り除く
稀に意外な場所に落ちてくることも
先日は九州地方で強めの地震が発生しました。念のため演習林内の巡視を行いましたが、幸い森林や林道に被害は有りませんでした。しかし、妙に落石が多いようでした。先週、重機を使って林道の落石を片付けたのですが...どうやら地震の揺れとその後の雨で氷が解けて落ちてきたようです。こうして山の岩が砕け、最終的には海に至り再び堆積していくのだなとしみじみ思いました。
地震で発生した?落石
2022.1.25 NT