クスサン(広報しいば12月号より)



椎葉村の広報誌「広報しいば」をご存じでしょうか?
この広報しいばの中で宮崎演習林の動植物を紹介する「椎葉の生き物」というコーナーがあり、私たち職員が毎月連載しています。

では広報しいば12月号に掲載されたクスサンについての紹介です!!
 虫が嫌い!蛾なんてとんでもない!という方はどうか目を細めてご覧下さい(笑

クスサンは、ヤママユガ科に分類される大型の蛾です。北海道から沖縄にかけて分布します。

クスサンの成虫
幼虫は長い白色の毛でおおわれていて、「白髪太郎」(シラガタロウ)と呼ばれています。ときに幼虫は大発生し樹木を丸坊主にしてしまうこともあります。
クスサンの幼虫。シラガタロウ。

その繭は非常にかたい編み目状で、内部の蛹が透けて見えるので「透かし俵」(スカシダワラ)と呼ばれています。

クスサンの繭。スカシダワラと呼ばれることも。


成虫は後ろ羽に目玉模様によるそらし効果で急所である胴体への攻撃を避けたり、隠した目玉を見せるフラッシュ効果で鳥を驚かせるのではと考えられています.動画でその様子をご覧ください!!





ところで、釣り糸に用いられるテグスは、漢字で「天蚕糸」(テグス)と書くのをご存じでしょうか?今ではテグスの原料はナイロン等の化学製品が主流ですが、昔はクスサンの仲間から作られていました。クスサンからテグスを採取するには、蛹化前の生きている終令幼虫を使います。幼虫を解剖し、体内から絹糸腺と呼ばれる器官を取り出し酢水につけながら伸ばします。
すると驚き!まるでナイロンのように硬い糸が取れます昔の人の知恵は素晴らしいですね!! 
広報しいばの方も是非ご覧下さい!!

2014.12.16   チョウ・ウツミ

両側に白と黄色に見えるのが絹糸腺です
 

固くてしなやかなテグスが採れます